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暴走族

どこかの幼稚園が
今日は新宿御苑で
一日を過ごすらしい
サドルの後ろに
子供を乗せる雨避けの
カバーのついた
背の高い椅子を装着した
電動自転車が一台
また一台と
IKEAのある
新宿三丁目の交差点に
集まっている
新宿門に現地集合するようだ
ただでさえ狭い
歩道が自転車で埋め尽くされる

信号が青になる
自転車たちが
いっせいに走りだす
新宿高校側の
下りのカーブを爆走し
電動アシストは
その先の坂道を
ものともせず
押し上げていく

もうあと一つ
信号を越えれば目的地
世界堂の方向から
押し寄せていた別の集団が
国道20号を突き抜け
合流する
黒いチャリの集団は
今や車道に溢れんばかりに
膨れ上がっている

このチャリの中にも
きっと序列があるのだろう
決して
追い抜いてはいけないチャリがあり
他の人たちより
高価なチャリは陰口を叩かれ
安価なチャリは嘲笑され
速すぎず
遅すぎず
集団は隊列をなし
子供たちを届けていく

モミジがプロペラの種を
風に揺らしている
今日も暑くなるらしい

アイドル

田植えの終わった田んぼから
46匹
もしくは48匹の
アイドルたちが
鳴き始める

彼らはハモらない
みんなが同じ声で
同じメロディを
同じ調子で歌っている

よく見ると
いや、よく見ても
体格にこそ差はあれ
どれも同じ格好
同じ柄
種が同じだから
仕方がない

それでも彼らは
その中から
コレという一匹を選ぶと
次世代の
アイドル誕生へ向け
遺伝子を受け継いでいく

何万という
オタマジャクシから
アイドルになれるのは
ほんのひと握り
隣の田んぼには
また別の
46匹
もしくは48匹がいる

先見の明

去年の記録を見る
天気予報を確認し
ニュースで街行く人の
声を聞く
その街と
この街の人が
同じとは限らない

ゴールデンウィークの
予想は外した
ほとんど誰も来なかった
ポテチもたくさん
入荷していたというのに
ノンアルや
微アルも増やし
家でパーティ
できるような
品揃えだったというのに

次の父の日
お中元
高価格帯のものは
求められたとき
ないと困る
残るともっと困る
そして夏が来る
お盆休み

来るのか
来ないのか

夏が来れば
来るのか
夏が来る前に
来ないのか
来るのか
夏は来るのか

陽炎のように
未来が揺れている
今週末だって
分かったもんじゃない

マネキン人形

スーツを着
満員電車に立ってみたら
誰もわたしが
マネキンだなんて
気づかなかった

エスカレーターで
デパートの屋上まで上っても
ホテルのエレベーターで
奥の角に立っていても
ラーメン屋の
行列に並んでも
みんなはわたしを
一瞥するだけで
気にも留めず去っていく

バッティングセンターの
バッターボックスに立ち
全ての球を
見送っていたら
「腰がなってねえんだよ」と
新聞丸めたおっさんに
素振りの手本を見せられた

世の中には
わたしが溢れている
バス停に並ぶと
隣にもう一体
マネキンが置かれる
わたしたちは無表情
スマホの画面に
自分の顔が映る

スイカズラ

横断歩道の
中央分離帯を急いでいると
ねぇねぇと
声を掛けられた
振り向いて
何の用かと知りたいが
探していれば
信号は赤になり
分離帯に取り残されてしまう
他の人たちも
立ち止まる気配はない

夜九時過ぎの
帰宅時には
声は大きくなっていた
スーパーのお惣菜を
マイバッグに入れ
一日の疲れを
ため息に映しながら
点滅を始める青に
わたしは躊躇する

昔話に出てくる
夜道で声が聞こえ
するほうへ行ってみると
なんてのは
きっとこんな
体験からきているのだろう

雨の夜にも
風の日にはいっそう大きく
スイカズラは声を掛ける
駅前でティッシュを配る
ガールズバーの子のように
長い枝の先に
白い花を差し出しながら
わたしは信号が
赤になるタイミングで
渡りきる

Appendix

プロフィール

山本

Author:山本
詩人の山本です。
言葉の楽しさ、言葉の芸術性、それを追求したものが詩だと思います。一般の読者に閉鎖的な作品ではなく、絵描きの絵の具、音楽家の音符、演奏家の楽器、写真家のカメラのように言葉を使い、読者に伝わる作品、読み手の背景で変わる風景を描いていきたいと思います。

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